十二国記新刊『白銀の墟 玄の月(しろがねのおか くろのつき)』1,2巻感想!

 

これです…!

これが読みたかったんです!!!

 

前回の短編集『丕緒の鳥』も良かった…当然面白かった…。

でもやはり『丕緒の鳥』は行間を描いた物語ですからね。

『魔性の子』から連なる十二国記シリーズ大本命の主軸ストーリー、主要キャラクターが描かれた本作はやっぱり違います!

18年待った甲斐がありました…これぞ十二国記!という世界を堪能させていただきました。

 

!注意!

ここから先は『白銀の墟 玄の月』第1,2巻について、特にネタバレ考慮なく感想書き進めてまいります。

また、大昔に掲示板で見かけた「今後十二国記はこういう展開になっていくらしい」というソース不明の噂話にも触れています。

ご留意の上、読み進めていただければ幸いです。



感想・はじめに

今回は発売日が三連休ということで、夜通し読んで1日で読破するだろう、と思っていたら読了するまで3日かかりました。

久しぶりの新刊が勿体無くてチマチマ読んでいたというのもあるのですが、新しい登場人物、新しい用語、土匪などの概念を覚えたり理解したりしながらだったので思っていたより時間がかかりましたね…。

読書も体力だなあ。歳かなあ。18年経ってるもんなあ…なんてしみじみ。

 

ところで本作、第1巻は新潮社文庫史上最大の初版50万部、3日後には重版各10万部が決まったとか。しかも来年は短編集もでるとか。しかもしかも、新刊購入者は短編集の中の1話が先読みできるとか。

18年間焦らしたくせにここへ来てとんだ過剰供給…!

心と身体が追い付きません!

 

新潮社の山田画伯の挿絵入り一斉リニューアル刊行に始まり今回の書き下ろし長編刊行。

新刊の奥付には十二国記読者が好みそうなラインナップがずらり。

一連の立役者はどなたですか?敏腕編集者?

その方に褒賞を授与いただきたいのですが?

感想・一章 泰麒登場

冒頭から宗教きた!

うわー…十二国記で宗教観がここまで詳細に描かれるの初めてですよね?

『月の影 影の海』での、楽俊と陽子の会話が思い起こされ、初っ端からテンション上がります。

やばい…もったいなくて読み進められない…。

この時点で早くも、三歩進んで二歩下がる読み方を始めます。

 

所属する里を失い行く当てもなく放浪している園糸が、何日か振りにたどり着いた里に入れてもらえず失望するシーン。

―――この里は、本当に駄目なのだ。

この独白、不由美節炸裂でたまらないです…!

徹底的な荒廃と人々の絶望の描写、戴は勿論、これまで綴られてきた芳や雁の荒廃、遠甫・陽子・桂桂の会話などが蘇ってきます。

 

そして満を持して泰麒(と李斎)登場!

もう…一章からしてアツ過ぎる…!

『月の影 影の海』で陽子が王だと判るシーン。

『風の万里 黎明の空』の噴飯物のシーン。

『図南の翼』で更夜の髪が靡くシーン…。

こういうの…大好きだ!

 

去思の切なる声

「心からお帰りをお持ちしておりました‥‥‥!」

は全読者の心の声でもありますよね…!

 

感想・二章 同士集う

はい、もう泣く。

瑞雲観の人々の想い。

過酷な状況においても強く正しく在ろうとする心ある民の姿。

泰麒の貴さ…。

十二国記が詰まってる…。

 

もう本当当たり前ですけど、本書を読む前の予習として戴関連の話だけ読むんじゃ駄目ですよね。既刊全部読まなきゃ駄目です。

そして当然、絶対に絶対に絶対に『魔性の子』も読まなければならないです。

あの小さくて可愛い泰麒が、立派な青年に成っていった経緯を知らずにいてはいけません…。

その背景知識があってこそ、本書の一行一行が胸を打ち、鳥肌が立つほど震えます…。

 

二章読了時点でもう物凄い満足感。

一巻だけであと四章分も読めるの?

しかも手元には二巻もあり、11月には三、四巻も?

来年は短編集まで?しかもそのうちの一話を先行して読める?

生きててよかった…。

一冊1,000円だろうが1,500円だろうが買う一択なのに、700円そこらで売ってくれるの安すぎでは?



感想・三章 旅立ち

いよいよ泰麒、李斎、項梁、去思が旅立ちます。

道観や神農といった組織がか細い希望を繋ぐ糸のようで心強いです。

そして徐々に過去…文州の乱のあらましが明らかに。

とはいえまだまだ物語は序盤、明かされることで謎は深まり、また様々な将軍や官僚の名前、派閥が出て来て頭が混乱してきます。

誰か…登場人物相関図を書いて…!

 

感想・四章 離別

なんかもういちいち泣けるんですが。

朱旌とか荒民とか冬官とか騶虞の「たま」とか…これまで十二国記を読んできて自分の中にストックされていた知識を総動員して読む感じ…。

これまでのエピソードが1つ1つ思い起こされるこの感じ…。

たまらないです…!

 

さて、本章から泰麒と李斎が別行動を取ることに。

項梁だけを連れて旅立っていった泰麒、李斎に負けず劣らずその安否が気がかりでなりません。

仙子ー!傲濫ー!早く戻ってきて泰麒を守って…!

 

そして多くを語らず去っていく泰麒にもモヤモヤ。

泰麒…もっと説明して…。

そんなところまで景麒を見習わなくていいんだよ…!

感想・五章 泰麒、白圭宮へ

泰麒は意外とあっさり白圭宮へ辿り着きます。

王宮(の手前)へ通されたものの、扱いは虜囚に毛が生えたようなもの。

泰麒やぞ…!麒麟やぞ…!もっと丁重に扱って…!

と憤りながら読み進めているところへ浹和登場!

泰麒の生還にさめざめと泣き、テキパキと身の回りを整えてい浹和に溜飲の下がる思いです。

いいぞ…浹和もっとやれ…。

 

なんて思っていたのも束の間、浹和が立昌のスパイであることが判明。

そんな…浹和…信じてたのに…。

感想・六章 李斎、文州へ

泰麒と李斎が別行動を取っているため、五章以降は章ごとに泰麒サイド、李斎サイドと交互に物語が進んでいきます。

李斎はついに問題の文州へ。

荊柏だー!鴻慈だー!

王を失った絶望的な荒廃の中で、驍宗が下した荊柏がギリギリのところで戴の民を救っている…。

驍宗様…カムバック…!

李斎は僅かな手掛かりを辿りながら、函養山を目指します。



感想・七章 泰麒、白圭宮にて その①

さて、ここから第二巻に突入です!

 

白圭宮の内情が描かれ始め、以前から描写されていた、”阿選は魔術のようなものを使う”の端々が見え始めます。

泰麒は嘘か真か、阿選を新王に指名し正式に台補の座へ帰還。

 

個人的には、”阿選は魔術を使って人心を掌握している”というのは何となく抵抗を感じてしまうんですよね。

十二国記は間違いなくファンタジーですし、様々な形で魔術の存在も既に描写されてはいるのですが、それらはいずれも十二国記の世界観における秩序やルールの中で整合性を保って機能していて。

”魔術が使える特定の人物の存在”はその均衡を破ってしまうような気がしてしまうんです。

とはいえそこは小野主上のことですから、こんな一読者が抱く違和感など吹き飛ばすような、計算され尽くした理屈付けでしっかり納得させられてしまうのでしょうが…!

感想・八章 李斎、土匪と出会い函養山へ

本作の鍵になるであろう、土匪についての詳細が描かれます。

が、

やばい…土匪にあまり興味が持てない…。

分かってる。分かってるんです。

ここでしっかり読み込んで土匪やこれまでの経緯について理解しておかないと、いつか展開についていけないタイミングが来るんでしょう…。

でもそれより早く…泰麒の章が読みたい…。

勝手に章を飛ばしてページをめくろうとする手を抑え、一文一文読み進めていきます。

 



感想・九章 泰麒、白圭宮にて その②

阿選に帰還を認められたものの、実権が戻らずにやきもきする泰麒。

そんな中で恵棟が良い人で一安心します。

 

阿選の”政に興味がない”、”玉座に飽いてしまっている”という症状は劉王に通じるところがありますよね。

大昔、某掲示板で”阿選=劉王”説を見かけたことがありますが、同一人物でなくとも何か関係が出てくるのでしょうか。

※ソース不明の情報で信ぴょう性は全くありません

 

冬が迫り、民のために実権を取り戻そうとビシビシ物言う泰麒が痛快です(泰麒自身は心痛があるでしょうが)。

 

そして琅燦は敵か味方か。

なんだかんだで結果的には泰麒に都合がいい展開へ誘導してくれているので味方だと思いますが、どうでしょう。

これも以前、某掲示板で見かけた今後のストーリー予測のなのですが、

”今後、どこか箱庭のような十二国の摂理を疑い、天に疑義を投じ対抗する登場人物が出てくる”

というものがありました。

この説では、その人物が広瀬とされていたので、”それは無いだろう”と思っていたのですが、琅燦の取っている立場はどこかこれに似ているような気もします。

※ソース不明の情報で信ぴょう性は全くありません

 

本作を契機として、これまで絶対とされていた天命、大綱、十二国の摂理にメスが入るのでしょうか。

十二国記最大の謎の一つ、天の存在も気になります。

十二国の住人たちは、例え雲海の上の住人(=神仙)であっても大半の人々が天の存在を概念的なものとしか捉えていないんですよね。

でも、西王母をはじめ天という組織は存在する…。

本作でこの辺りが明らかになるのか、それも楽しみなところです。

感想・十章 李斎、函養山を探す

難航しながらも、少しずつ驍宗へと近づいていく李斎たち。

何となく信頼できそうな人々が繋がって、何となく手掛かりが繋がっていく。でも肝心なことには手が届かず…。

『風の海 迷宮の岸』の頃には、李斎がこんなに重要人物になるとは思っていませんでした。

頑張れ、李斎…!

感想・十一章 泰麒、ブチ切れる

九章に引き続き、実権を取り戻すためにはっきりと物を言う泰麒が痛快です。

次第に泰麒の周りに本心から泰麒の身を案じる人物が揃ってきて嬉しい限り。

 

李斎の中では泰麒はどこかまだ十歳の子供(しかもCVくぎゅう)。

我々の中の泰麒だって同じです。

こちとら泰麒に関しては蓉可か仙子か李斎かって気持ちで読んでますからね。

もうほんと…仙子と傲濫早く戻って来て…泰麒を守って…。

 

“台補を蔑ろにすることは許されません”

よし!恵棟!よく言った!



感想・十二章 嘘だ!

信じないぞ…まだ信じないぞ…!

少なくとも泰麒が白圭宮入りした時点では白雉が落ちていないことは確認されていますものね?

生死の真偽は置いておくとして、この人物が本当に驍宗なのか?それとも影武者なのか?が気になるところです。

本人だった場合、老安の叛意を悟って死んだフリをした?

個人的には驍宗が歌うイメージがあまり持てないので、どちらかというと亡くなったのは影武者で、驍宗は豪商の元に匿われている…と思いたい。

感想・さいごに

主上ーっ!

なんというところで前半を区切ってくれたのですか!!

 

いやでもあと二週間後には続きが読めるのですからね。

これまでを思えば幸せなモヤモヤ期間というものです。

 

今回の新作長編、シリーズ完結の雰囲気が漂っていますが、現時点で新潮社が完結を銘打っていないこと、シリーズ最終巻の表紙のが阿選っていうのもなんだかなあ、ということで、完結ではないのでは、とも考えています(というかお願いします…終わってほしくないだけです…)。

 

今回、阿選は天意を図っているのでは。

形而上学的な島々、作られた箱庭のような世界観、この十二国という世界に一石を投じるのが本作『白銀の墟 玄の月』までの話で、次作で陽子たちも巻き込んでそこに決定的に踏み込んでいく。

それが本当の完結編になるのではないでしょうか…という期待を込めて。

 

次巻刊行の11月9日はもう間近、指折り数えて待ちましょう!!

 

『白銀の墟 玄の月』第三、四巻感想はこちら→

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十二国記好きの方に是非読んでいただきたいオススメ漫画はこちらにまとめています。

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