新参者 映画「祈りの幕が下りる時」感想

 

松嶋菜々子って

すごいですよね。

 

本当は、先日アップした麻耶雄嵩『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』『神様ゲーム』感想の続きを、

と思っていたのですが、

「祈りの幕が下りる時」が思いのほか良かったのでこちらの感想を先に・・。



本作は、東野圭吾の『加賀恭一郎シリーズ』の映画化第二弾。

原作未読、ドラマ『新参者』未視聴です。

映画化第一弾である『麒麟の翼』は見たことがあるのですが、

原作、ドラマ含め見ていなくても問題はない作りになっています。

 

未視聴者へのあらすじシーンは皆無ですが、

それとなく台詞でフォローされていたり、

そもそも原作やドラマを見ていないと分からないようなエピソードはあまり出てきません。

 

以下、あらすじ(途中まで)

あるアパートで女性の絞殺死体が発見される。

アパートの住人である男性も行方不明。

やがて捜査線上に浮かびあがったのは、舞台演出家である浅井博美(松嶋菜々子)。

しかし彼女にはアリバイがあり、捜査は難航する。

そんな中、浅井博美と加賀恭一郎(阿部寛)が知り合いであったことが判明。

物語はやがて、加賀恭一郎(阿部寛)の母親の過去にも及び・・。

 

感想(前半部分)

途中まで、正直、ハズレか?と思いました。

 

東野圭吾原作で、人気もあったドラマの完結編。

迎える女優は松嶋菜々子と、古畑任三郎を彷彿とさせるフィナーレ・・。

コケる作品を作るはずがないと、期待して見に行ったのですが・・。

 

シリアスなんだかコミカルなんだか分からないどっちつかずの演出に、

視聴者の想像力を信じない説明くさい過剰な台詞。

 

特に、事件本部での諸々のシーン。

演出なのか?悪い意味で灰汁が強く、うっとうしく、暑苦しいです。

『半沢直樹』の悪い部分っぽいなと思ったら、監督が『半沢直樹』の人でした。

春風亭昇太のニヤニヤしたドヤ顔、本当に必要なんでしょうか・・。

 

また、二時間サスペンスの様式美、捜査という名の観光地めぐり。

まあ予算もたっぷりついているのでしょうが、

風光明媚な場所ばかり映さなくてもいいだろうと・・。

そんなとこで会話する必要あるのかと・・。

 

まあそんな感じで、心の中でツッコミを入れつつ見ていたわけですが・・。

 

後半に入って一転、事前の触れ込みどおり、号泣に次ぐ号泣で、やられました・・。

 

以下、直接的なネタバレはないですが、前半には登場しない出演者に言及するので、ご注意ください



 

感想(後半部分)

後半、前半から一転して、

果たして同じ作品だったのか?

というくらい渋い演技と演出で魅せて、泣かせてくれました。

 

説明くさい台詞もなく、俳優陣の演技力で魅せる魅せる・・。

 

阿部寛さんがシリーズの主役なわけですが、

本作の成功の鍵はなんといっても松嶋菜々子さん、小日向文世さん、桜田ひよりちゃんでしょう。

この三人の存在感と演技力がなければ成り立ちません。

 

小日向さんはもう、言わずもがななので割愛しますが、

なんといっても、

桜田ひよりちゃん!

 

『明日、ママがいない』でその可愛さと、

芦田愛菜や鈴木梨央に引けを取らない泣きの演技をみせてくれた女優さん。

 

今回も魅せてくれました・・。

もう、この子に泣かれたらね・・。

心臓がぎゅううっとね・・。

締め付けられますよ・・。

あ、思い出しただけで泣きそう・・。

 

今回、この子がコケたら一気に興ざめしたでしょう。

それくらい映画全体の出来を左右するキーパーソンでした。

そこをしっかり演じてくれた。

だからこそ、小日向さんや松嶋菜々子さんの演技もより一層リアルに感じられた・・。

 

まだまだ若い、子役といってもいい年代の彼女。

これからの成長が楽しみすぎます。

 

そして、やっぱり松嶋菜々子。

ドラマ『砂の塔』の演技を見た時も思いましたが、ものすごい女優になったな、と・・。

 

圧倒的な美貌なだけじゃなく、貫禄と演技力を兼ね備えた、名実ともに大御所さんになりました。

 

怒り。

覚悟。

悟り。

諦め。

悲しみ。

動揺。

貫禄。

愛情。

 

・・様々な感情を、言葉に頼らない演技で見事に表現されていました。

大作のフィナーレに相応しいヒロイン、圧巻でした。

 

松嶋菜々子、超綺麗だ。

 

 

ところで、東野圭吾作品の一番好きなところは、タイトル付けだったりします。

容疑者Xの献身』とか。

実は東野作品はそれほど好きという訳ではないのですが、

そのタイトリングの意味を知りたいがために、小説を読んだりします。

 

本作『祈りの幕が下りる時』も、ラストにタイトルの意味が分かるシーンがあります。

その時の松嶋菜々子の美しさといったら、筆舌に尽くしがたいとはこのことかと。

 

あのラストは、彼女たちにとって、「祈り」だったんですよね。

悲しい物語ではあったけど、そこに少しは救いがあったと、思ってもいいのでしょうか・・。

 

おすすめ度★★★★☆(4点/5点満点)

この作品が好きな人におすすめの作品
→東野圭吾『ガリレオシリーズ』より『容疑者Xの献身』、『真夏の方程式
※どちらも映画化されており、素晴らしかったのでおススメです

この作品をおすすめしたい人
→東野作品が好きな人
→『明日、ママがいない』で桜田ひよりちゃん(ピア美)の泣きの演技にヤラれた人

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