“ジャンプ史上、最高に綺麗に完結した”
と評されている、原作漫画、フジリュー版『封神演義』。
その二度目のアニメ化が、今回の『覇穹 封神演義』だったわけで。
最終回まで視聴して思うのは、
残念だった。
勿体なかった。
やはりそんな気持ちがぬぐい切れない最終回となりました。
アニメ『覇穹 封神演義』最終回 感想
最後の最後まで絵は美麗なまま崩れず(エンドカットも毎回最高!)、声優さんの演技も良くて、個々のシーンをそこだけ見れば、原作再現度も高く演出もわるくなかった。
でも、全体のストーリーがぶつ切りで、脈絡が分からずついていけず、エピソードの積み重ねがないからキャラに愛着がわかず感情移入できず。
2クールには到底収まりきらない原作のボリュームを考えると、切らなければならないエピソードやキャラクターが生じるのは重々承知ではありますが。
それでも、Aというエピソードを切ったのにAに連なるA2が残っていたり、Aはやったのに続くはずのA2が切られていたり(だったらA自体カットでいい)と、正直解せない編集も多々。
そもそも尺不足であるにも関わらず無駄に二重に放映したシーンがあったりと、もう少しやりようがあったのではと思えてなりません・・。
そして辿り着いた最終回23話。
もう数話前からどうやっても原作の最終エピソードまで収まりきらないのは分かっていましたが・・それにしても、あり得ない終結の仕方ではなかったでしょうか。
太公望とは何者なのか?
妲己の計画の全貌とは?
女媧はどうなったのか?
原作が有終の美を飾ったのは、最終回に向けて物語が盛り上がり続け、大きく広がった風呂敷をきれいに畳み切ったからであり、それには、上記3つのエピソードは必須であったはずです。
伏線含めて一切をカットするならまだしも、謎をチラつかせたにもかかわらず大したケアもせずに終わらせるなんて・・。
あれでは、
王天君は「融合して、ひとつになろうぜえ~」と言いっ放しのただの変態だし、
太公望はラストシーンで意味なく衣装チェンジをしただけだし、
妲己は物語後半、突然存在感薄くなって、最後の最後で謎の行動を起こし、ご都合主義的に身を引いてくれたみたいにしかみえない・・。
(そのほかにも、雷震子や蝉玉の無意味な扱いとか、数話見逃したとしか思えない雲霄三姉妹関連のエピソードとか、天化の傷は投げっぱなしかよ!とか、言いたいことは山ほど・・。)
もったいない・・。
あまりにもったいない!
原作ではすべてが語られているんです。
アニメを見て「???」となったみなさん、
フジリュー版原作を読んでください!
お願いします!
覇穹のことは嫌いでも、封神演義は嫌いにならないでください!
原作フジリュー版『封神演義』を読んでほしい
アニメ『覇穹 封神演義』の原作は、1996年~2000年まで『週刊少年ジャンプ』に連載された『封神演義』。
作者は、『屍鬼』や『銀河英雄伝説』のコミカライズでも有名な藤崎竜先生です。
そもそも『封神演義』というのは、中国の古典作品。
これを意訳した安能務訳『封神演義』を更に意訳・・というか、フジリューワールドに染め上げた作品が、少年ジャンプの『封神演義』。
非情な打ち切りが多い少年ジャンプの中で、史上最高に綺麗に終わったと名高い名作です。
基本的なストーリーは『覇穹 封神演義』が再現した通りなのですが、アニメ化にあたり大幅にカットされたエピソードやキャラクターがあり、『覇穹 封神演義』を見て「???」となった箇所がある方は、ぜひ原作コミックスをご一読ください。
きっと、謎が解けると同時に、深い感動を味わえること間違いなしです。
黒歴史である前アニメ作品『仙界伝 封神演義』にも魅力はあります
フジリュー版『封神演義』は、『覇穹 封神演義』前にも一度アニメ化されています。『仙界伝 封神演義』です。
(ぶつ切りでありながらも)基本的には原作のストーリーをなぞった『覇穹 封神演義』とは異なり、終盤にかけて大幅にストーリー改変されており、長年原作ファンの間では黒歴史とされてきました。
しかし、結城比呂(太公望)、石田彰(申公豹)、千葉進歩(楊戩)、かかずゆみ(妲己)、松本梨香(雷震子)、緒方恵美(普賢)・・といった実力のある個性派声優陣のキャラ作りはハマっていて、これは一聴の価値ありです!
更に、主題歌が非情に素晴らしい!封神演義の世界観を深めるために、主題歌だけでもぜひ聞いてみてください。
オープニング曲『WILL』(米倉千尋)
曲調もメロディも歌詞も歌声も何もかも素晴らしい神曲。
まずイントロから溢れる中国×仙界感、オープニングにふさわしい伸びやかな歌声。
そこに、「仲間から太公望へ」の想いを綴った歌詞が乗せられます。
仲間から寄せられる太公望への信頼感、期待、そして彼らの間にある絆がぶわっと流れ込んでくる名曲中の名曲です。
エンディング曲『FRIENDS』(米倉千尋)
エンディングは、オープニングから一転、エンディングにふさわしいしっとりとした曲調に。
ささやくような歌声から始まって、壮大なバラードへ、そしてラストはまた、ひっそりと終わっていきます。
オープニングの歌詞が「仲間から太公望へ」だったのと対となっていて、エンディングの歌詞は「太公望から仲間へ」の想いが込められています。
太公望のやさしさ、責任感、愛情深さが感じられる、美しい歌詞です。
壮大な歌詞を、ガチで実行している太公望、なんて素敵な主人公なんでしょうか・・。
以上、『封神演義』に関するおすすめあれこれでした。
それでは最後に、大事なことなのでもう一度書きます。
覇穹のことは嫌いでも、封神演義は嫌いにならないでください!