これなんです・・!
我々が見たかった最終回は・・!!
よく少女漫画を褒める言葉として「もはや少女漫画ではない」という言い方がありますよね。
例えば吉田秋生先生の『BANANA FISH』は時に”ハードボイルド”と称されますし、萩尾望都先生や山岸涼子先生など24年組の先生方の作品は、”古典”、”純文学”などと呼ばれたりもします。
では、やはり名作であることはもはや疑いようもない『7SEEDS』を、少女漫画以外の言葉で称するならば・・。
これはもう、人類漫画。
創世記的な内容もそうですし、読み手も、少女だけに留めるにはあまりにも勿体ない。
老若男女問わず読んでほしいし、国内外問わず全人類に読んでほしい!作品です。
すれ違い、絡み合い、笑って泣いて、数々の困難を乗り越えて、大団円を迎えた。
かに見えた最終回(FC35巻)。
・・正直、最終巻は物足りなさが残ったんです。
数巻前から、最終回の形が見えてしまっていて、その流れのまま、無事に完結した。
だから、なので、実は少しもやもやしたのが、正直な感想だったんです。
最終回までは完全に希代の名作間違いなしだったのが、いや、名作なのは揺るぎないんですが、最終巻でちょっと肩透かしを食らったような。
新巻さんや安居や涼のエピソードがちょっと消化不良だったり、「方舟はどうなるんだろう」とか、「百舌さんはどうなったんだろう」とか。
このまま終わっちゃうのは残念な感じだったんです。
で、そこに来てのこれですよ、外伝ですよ。
我々が見たかった最終回はこれなんです!
見たかったそれを書いてくれた。
それぞれのキャラクター、設定、伏線に、なんらかの未来を提示してくれた。
『7SEEDS 外伝』はそんな、”真の最終回”を描いた一冊でした。
「7SEEDS 外伝」ネタバレ感想
外伝が出ると聞いたときには、キャラの過去の話とか、こぼれ話系なのかなと思っていたのですが、がっつり後日談。
最終回直後の話なので、実質本編です。
あとがきに田村先生ご自身の言葉で書いてありました。
”最終回を後日談にしたくなかったので、きりのよいところで終わりにして続きを外伝で描いた”とのこと。
ああもう、はい。
完全に納得です。
本作をもって、本当の本当の完結。
完全なる名作、傑作になりました。
罪を犯してしまった安居や涼のけじめのつけ方。
彼らに対する、夏のAチームの意見。
ハナと新巻さんがお互いの関係に折り合いをつけて。
愛情深い涼を、愛情深いまつりがキャッチして。
涼が笑って。
ハルが笑って。
いろんなカップルができて。
いろんなグループができて。
社会を作り始めている・・。
これだよ…これが見たかったんだよ…!
本当に、ありがとうございます。
さいごに、新巻さんについて一言。
何巻か(35巻だったかな?)のあとがきで、キャラクターそれぞれが主人公と書かれてありましたが、好感度No.1主人公はダントツ新巻さんだったのではないでしょうか?
巻を重ねるごとに、ものすごく丁寧にキャラクター像が深堀されていったと感じています。
たぶん、ナツやハナや嵐よりも。
新巻さんて、高校2年生(16才?)の歳からずっと一人でコミュニケーションから断絶されていたわけで、再登場して以来ずっと良識あるまっとうな大人に見えていたけれど、たぶん、まっとうな大人になれるわけなかった人なんですよね。
冬のチームでのエピソード、15年間にもおよぶたった一人での放浪生活。
彼が抱える、目に見えない傷や問題が、花やほかのチームのメンバーと出会うことで露見し、癒され、成長していく様が…。本当に胸を打ちました。
そしてラスト近く、”本当はバーサーカー”という称号?笑が、なんとしっくりきたことか。
元々、一流の投手である新巻さん。
ただの「いい人」で終わるキャラであるはずがありません。
花やあゆや…角又さんたちに振り回される新巻さんをもっと見ていたいような…。
これからを描いた「本当の」外伝、続編、待っています!!!
そしてもう一つ、最後の最後に…。
田村先生、『BASARA』という越えがたい評価を得た作品のあとに、これほどの大作を描かれたこと、心から尊敬いたします!!!
”本当の最終巻”『7SEEDS 外伝』
田村由美先生伝説の大ヒット代表作!『BASARA』
田村由美先生最新作『ミステリと言う勿れ』こちらもめちゃくちゃ面白いです!
7SEEDS好きの方に是非読んでいただきたいオススメ漫画はこちらにまとめています。