前田裕二『メモの魔力』を読んだら幸せになる方法が分かった件

いま売れに売れているビジネス書、石原さとみの彼氏でありSHOW ROOM創設者でもある前田裕二氏の『メモの魔力』。

一度本屋で立ち読みし、買わなくてもいいな…と思っていたのに結局買ってしまい、本腰入れて読んでみたら思った以上に影響を受けたので、今回ご紹介したいと思います。

 

ベースにある考えは最近の流行りと同じ

ベースに流れる考え方はシンプルで、有限である時間や脳の容量をクリエイティブでオリジナルなことに使おう、というもの。

有名な自己啓発本や、ホリエモン、西野亮廣、西村博之、DaiGo、ちきりん…あたりの主義に触れたことのある方であれば、良く言えば読みやすく、悪く言えばあまり真新しさは感じないような内容になっていると思います。

その上で今回は、「メモ」を使うことに特化した一冊。

 

メモの二つの使い方

本書では、メモには二つの使い方があると述べられています。

一つは、記録のためのメモ。

脳の外付けハードディスクとしてのいわゆる「メモ」ですね。

余計な考えや記憶をいったん外に出しておくことで、より創造的、独創的なことに脳を充てがうことができます。

また、人は意外とすぐに様々なことを忘れてしまうものですが、メモしておくことでそれを防止することも可能です。

もう一つは、知的生産のためのメモ。

こちらが今回の本題になっています。

 

メモで日常が宝の山に代わる

知的生産のための「メモ」とは一体どのようなものでしょうか?

その鍵は、「メモ」そのものではなく、「メモの取り方」にあります。

前田氏は本書の中で、「日常を宝の山に変える、メモの取り方」を紹介しているんです。

 

ここでいう、前田流メモの取り方を簡単にまとめると次のようになります。

メモは、「事実」「抽象化」「転用」の三段階で整理すべし

「事実」⇒とにかく目から耳から入る情報を書き留める。いわゆるメモ。メモしながら、内容の階層や分類整理ができればなおよし。

「抽象化」⇒「事実」としてメモした内容から浮かび上がる法則や発想を、一段階上(広義)の次元で再考してみる。

「転用」⇒「抽象化」で一段階上にあがったものを、別の分野に下ろせないか(転用できないか)を考えてみる。

ありとあらゆる事象や気づきを片っ端からこの3ステップにかけることで、日常に転がっているアイデアの枝葉(事実)を幹(抽象化)に戻し、あらたな花を咲かせる(転用)ことができる。

 

「メモ魔」を実践する人はほぼいない

アマゾンのレビューに、”この本に書いてあることは四行で言える”といったような評価があったのですが、これはある意味真実だと思います。

メモの取り方について言えば、この記事の前項でも記載したとおり、4行とは言わずとも数行にまとめることができます。

でも、この本は、イケてるメモの取り方を教えるノウハウ書ではないんです。

この本はライザップなんです。

 

前田氏は確信を持っているのでしょう。

前田流メモの取り方を実践すれば、誰もが日常から宝を見出すことができると。

ひいては、人生を変えることができると。

 

でも、前田流メモの取り方は面倒くさいんです。

面倒くさいことは、普通の人はやらないんです。

 

そしてそのことも、前田氏は知っている。

だからこの本は、本来ならば4行で済む話に丸々一冊使って

やろうよ!!※

ってことが書いてあります。

 

※具体的には、なぜ「前田流メモの取り方」を実践すべきなのか、実践するとどんないいことがあるのか、前田氏の事例など

 

本書は、一人では決して「前田流メモの取り方」を実践できない読者に対し、前田氏がすぐ側で、松岡修造ばりに

出来る出来る!君なら出来る~!

と励ましかける、コーチングの書なんです。

 

「メモ魔」はビジネスシーンだけでなく、日常にも応用可能

前田氏は起業家なので、本書に出てくる事例はビジネスに応用するような話が多いのですが、日常をささやかに幸せに生きるヒントにも通じるところがあると感じました。

 

例えば、「なんとなく居心地のいいカフェがあった」場合。

A.何もしない

⇒さいあく忘れて、二度とそのカフェに行くことはありません。

 

B.いつも持ち歩いている手帳にメモする

⇒次に時間が空いた時に、そのカフェを再訪することができます。つまり、居心地の良さを再び感じることができます。

 

C.前田流メモの取り方を実践する

⇒”自分が感じた居心地の良さ”を洗い出し、抽象化することで、自分が居心地の良さを感じる場合の共通項が見えてくる

⇒さらにその共通項を転用することで、カフェだけでなく職場や美容院、コミュニティなど、自分が居心地の良さを感じられる場が倍増する

 

こんな風に、身の回りを生き易くすることができそうです。

 

巻末の自己分析1000問で幸せになる方法が分かった

もうひとつ、本書の目玉となっているのが、巻末についている自己分析1000問。

結局メモは”何か”を得るための手段でしかない。

でも人間はその”何か”、つまり、”自分が本当に望んでいるもの”を意外と分かっていない。

だから自己分析1000問で、自分の望みを洗い出そう、というわけです。

 

筆者も、いつでもどこでも「前田流メモの取り方」を実践するのはしんどそうだけど、家で一日数問、前田式に自己分析をするくらいならできるかな、と思い、ゆるゆるやり始めたらこれが面白い

この自己分析も、「事実」「抽象化」「転用」の三段階で書き進めるのですが、普通は「事実」で止まるところが、「抽象化」「転用」まで考えなきゃならないとなると、発想や思考や記憶が溢れてくる。

自分とめっちゃ対話できる。

忘れてた記憶とか、思いがけない欲望とかが、面白いほど沸いて出てくる。

これは、忙殺されてる人にこそ必要な時間だと思います。

別にヨガでも瞑想でもボトルシップ作りでもなんでもいいんですけどね。

特に今そういった内省する時間を設けるきっかけを持っていないという方がいらっしゃれば、オススメです。

 

巻末の他人の人生の軸が意外と面白い

本書には、更に巻末におまけとして、1000人分の「人生の軸」が収録されています。

Twitterで集められた、本当に「ヒトコト」なんですが、これをちゃんと読んでると、自分と全然違う「軸」を持っている人がいることに気が付きます。

新鮮な気付き、驚きですし、そういった差異から見えてくる新しい「自分」も、また面白いものです。

 

自分と対話するも良し、貪欲に日常でのお宝探しをするも良しの一冊です!

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